・『魔方陣』

新 鼻 袋 〜第四夜目〜

536 :ゴーストハンター:04/05/13 03:14 ID:94yOhyD6
  「魔方陣」

ケンちゃんが変。
学校の子ども会のあいだ、ずっと変な本読んでる。
「それなあに」って聞いたら「悪魔の本」だって。
「悪魔を呼び出すんだ」
ケンちゃんは興奮してた。
夕方グラウンドに出て、地面に絵を描きはじめた。
「石拾ってきて、手伝って」
怖かったけど、ケンちゃんと遊びたかったからすぐに石を見つけてきた。
ケンちゃんの本を見ながら、丸を描いて中にぐにゃぐにゃした文字をかいた。
魔方陣なんだ、ってケンちゃんはいった。
もうこども会が終わる時間になって、先生が呼びにきた。
「はい、もうおしまい」
「やだ」
ケンちゃんは石を放さなかった。
「もう、続きは明日ね」
「いやだ。休み時間の野球とかで消えちゃう」
ケンちゃんと先生が話してるあいだ、ぼくは変なのを見た。
先生の影が夕焼けに長く伸びて、魔方陣にかかっていたのに、ぐぐーって曲がりはじめた。
影だけが曲がって魔方陣の外に出ちゃった。
ぼくは目をこすったけど、先生は気づいてなかった。


537 :ゴーストハンター:04/05/13 03:15 ID:94yOhyD6
結局ケンちゃんとぼくは先生に引っ張られて、帰らされた。
家で晩ごはんを食べながら思った。
魔方陣ってどうやって使うんだろう。
そのとき家の電話が鳴った。
お母さんが出ると、ケンちゃんのお母さんからだった。
「ケンちゃん知らないかって」
ぼくが知らないっていうと、お母さんは挨拶して切った。
ケンちゃんがまだ帰ってないんですって。心配ねえ。
ぼくは「なにも知らないよ」といってごはんをかき込んだ。
ドキドキした。

その日の夜、ケンちゃんが学校のグラウンドを走ってる夢をみた。
お化けに追いかけられていたみたいだった。
はやく覚めないとケンちゃんがあぶないと思って、夢覚めろ夢覚めろって、ずっと念じていた。

次の日、ぼくはいつもよりだいぶ早く登校した。
グラウンドはサッカー部が朝練習で使うから、早くいかないと。
でもぼくが着くともうサッカー部の上級生たちは来てて、それだけじゃなく、先生たちもグラウンドに集まってた。 


538 :ゴーストハンター:04/05/13 03:16 ID:94yOhyD6
みんな怒鳴ったり、わめいたりしてる。
校庭に入っていくと、気持ち悪い模ようがグラウンドの土の上に見えた。
それは昨日ケンちゃんが描いた魔方陣にそっくり。
でも一つじゃなかった。
グラウンド中になん十個も同じ魔方陣が広がってた。
先生たちは消そうとしてたけど、教頭先生が警察を呼ぶからって、止めていた。

ぼくはケンちゃんが描いたんだと思った。
昨日家に帰らないで描いてたんだって。
でも多すぎる魔方陣をみて気がついた。
夜のあいだは照明も消えるのに、こんなにたくさんどうやって描いたんだろうって。
ぼくは昨日ケンちゃんと二人で描いた魔方陣を見つけた。
描きかけだったのに、完成してた。
やっぱり変だ、と思った。
昨日描いたのは、石で描いたから線がへっこんでるのに。
ほかのは・・・
盛り上がってる。


539 :ゴーストハンター:04/05/13 03:17 ID:94yOhyD6
まるで地面の裏がわから描いたみたい。
そう思ったとき、ぼくはケンちゃんがお化けに追いかけらた夢を思い出した。
向こうでヨシダケンイチ、という声がして振りむいた。
先生たちが「ケンイチ君の行方不明と関係があるのかも知れない」って話してるのが聞こえた。
ケンちゃんはやっぱり帰ってなかったんだ。
足がガクガク震えた。
「校舎にはいりなさい!」
とうとう先生がぼくらを追い払いはじめた。
ぼくも校庭から追い出された。

それから警察が来て、午後の下校のときにはもう魔方陣は全部消されてた。
けっきょくケンちゃんは見つからなかった。
ケンちゃんが持ってたはずのあの本も。
そして校舎の裏に、いつのまにか変な井戸ができていた。

次の学期になって、同じ団地の上級生の三井くんがぼくにこういった。
「あの井戸、どうして出来たか俺知ってるぜ」


540 :ゴーストハンター:04/05/13 03:24 ID:94yOhyD6
三井くんはサッカー部のキャプテンで、あの日宿直の先生が校庭の変な模様を見つけたすぐあとに学校に着いたらしい。
「俺、校舎を回りこんだ所の水のみ場のあたりに変なものを見つけたんだ。
 そこにも魔方陣があって、その中に黒い人型の模様があった。
 俺、最初は水で濡れて黒くなってるんだと思ったけど、先生が来て、消そうとしたら消えないの、それが。
 足で土を伸ばしても、トンボで引いてもそのまま残ってるの。
 俺が『影だ!!これ』って言ったら先生真っ青になって、トンボの柄で地面ほじくりだしたけど、
 掘っても掘っても、そのへこんだトコに影が降りるだけで消えないんだ。
 そのあと他の先生が来て、とりあえず黒いシーツかけてた。
 それからだぜ、あの井戸が出来たの。あれ、影を隠してんだ」
三井くんは自慢そうにいって、「秘密だぞ」と指を立てた。
ぼくはなにかが分かった気がした。
たぶんケンちゃんはお化けを呼ぼうとして、失敗したんだ。
それで、逆にお化けに連れていかれたんだ。
魔方陣に追いかけられて、追いつめられたところが水のみ場だったんだ・・・


541 :ゴーストハンター:04/05/13 03:25 ID:94yOhyD6
ぼくは次の日、校舎裏の井戸へひとりでいった。
まわりには誰もいなかった。
ふたはしてない。
子どもが落ちるかもしれないのに、ふたをしてないのは多分ふたの上にケンちゃんの影がうつるからだと思った。
のぞき込むと中は暗い。
あんまり底は深くないみたいだけど、壁がゆがんでて底まで光がとどかないみたいだった。
影も見えない。
ぼくは身をのり出して井戸の底のケンちゃんにささやいた。
「どうして、魔方陣を手伝ったぼくは助かったの」
そのとき、小石が井戸のふちから落ちた。
ちゃぽぉんと井戸の底から音がして、波もんが広がるのが見えた気がした。

 それはね、このまほうじんに、こういうんだ
 
ケンちゃんに似た声が、井戸の底からして、ぼくははっとした。
そばにいるような遠くにいるような声だった。

 えひろいぬ えひろいあ ことる ふんぐるい・・・

波もんがぐにゃぐにゃとゆれているのが、見えないのに、見えた。
ぼくはすぐに耳をふさいだ。
これは、多分、
覚えちゃいけない。




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posted by 巨匠 | Comment(0) | ウニシリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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